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展示会レポート 2022.07.01

第1回 実装組立プロセス技術展2022

エレクトロニクス 実装技術 編集部

第1回 実装組立プロセス技術展2022

 

 

 2022年4月14日(木)、4月15日(金)の2日間、宮城県仙台市の夢メッセみやぎ 西館展示場(●写真1)において、「実装組立プロセス技術展2022」の第1回が開催された。

 この展示会は、実装工程の中の後工程における専門設備メーカーが集結し、その自動化に貢献する製品を展示・紹介するもの。

 第1回では9社の出展だった参加企業は、現在では19社に及び((株)アイビット、アポロ精工(株)、アルファーデザイン(株)、アントム(株)、(有)イトウプリント、化研テック(株)、KnK(株)、(株)弘輝テック、(株)サヤカ、(株)東京測器研究所、日本プラズマトリート(株)、日置電機(株)、(株)日立技研、マランツエレクトロニクス(株)、(株)マルコム、メイショウ(株)、ユニテンプジャパン(株)、(株)レクザム、TM人事労務コンサルティング(株))各社が出展、製品や技術を紹介した(●写真2)。

 また今回も感染症対策として、会場内ではスペースが適度に確保され、密にならないような配慮がなされていた。

 

(写真1)夢メッセみやぎ外観

 

(写真2)展示会場内

 

 

 

( 株)アイビットのブースでは、2μmの高解像度、幾何学倍率500倍という高機能によって、鮮明なX線画像の取得が可能な3D-X線ステレオ方式X線検査装置『FX-400tRX』を紹介していた(●写真3)。

 同社独自技術である「X線ステレオCT方式」を搭載する製品で、BGAの裏面情報をキャンセルしつつ、実装基板の上面から下面までを、300層のスライス断面画像として、40秒で取得。

 110kV、200μAの高出力X線源によって、銅(3mm)なども透過する。その他、P-CT(ななめCT)、V-CT(垂直CT)での3D検査や、X線ステレオCT機能による10層のプリント基板の内層の観察(オプション)も可能である。

 

(写真3)3D-X線ステレオ方式X線検査装置『FX-400tRX』

 

 

 

 アポロ精工(株)では、デスクトップ型スリーブ式はんだ付けロボット『J-CAT 330CMS』を紹介していた(●写真4)。

 熱伝導に優れたメタルスリーブを採用した製品で、軽量コンパクトなヘッドにカートリッジヒータを採用したことで、高密度実装部品の狭いスペースへのスリーブの挿入を可能にしている。

 タッチセンサ・バッファロックによって安定した仕上がりを実現。

 ワークへの熱供給、はんだの溶融時はスリーブによって密閉空間となっているため、はんだボールの発生やフラックスの飛散がない、といった特徴の他、糸はんだの定量性確保、スルーホールの充填やバックフィレットの形成の容易さ、など注目点が多い製品となっている。

 

(写真4)デスクトップ型スリーブ式はんだ付けロボット『J-CAT 330CMS』

 

 

 

 アルファーデザインでは、防湿材塗布における様々な課題解決に応えるラインアップを紹介。

 防湿剤塗布装置『ACM-300L』は(●写真5)、2塗布ヘッドにより、多彩な塗布を実現する製品で、飛散のない均一な塗布膜厚が可能。

 また、高さ認識を取り入れた自動プログラム『α PRO 3D』対応機種で、3D機能による高さ測定で製品破損のない、塗布プログラムの作成が簡単に行える。

 エントリーモデル・基板防湿材塗布装置『DCF-605PU』は、多品種少量生産対応、塗布作業の効率化、現場の環境改善、納期の短縮化を実現するデジタルコーティングマシン。

 小ロット生産の刷毛・スプレー塗布作業からの改善に貢献し、同形状基板だけでなく異形状基板も複数枚の一括塗布が行え、広幅塗布と細幅塗布の専用ノズル2種から使い分けができる。

 

(写真5)防湿剤塗布装置『ACM-300L』

 

 

 

 アントム(株)では、あらゆる加熱用途に対応できるので、実験・研究用途にも最適な超小型搬送式予備加熱炉『HAS-1016』を紹介していた(●写真6)。

 同製品は、乾燥・硬化・リフロー前の予備加熱に最適な1ゾーン加熱炉。

 恒温槽から入れ替えることで自動化、省人化、安定性を実現し、独自の加熱方式(遠赤外線+熱風の加熱方式)の採用によって電力を大幅に削減。

 ピッチ送り搬送で長時間停止加熱に対応する(一定時間の搬送と停止を繰り返すことができる)。

 基板有効幅は160mm、基板有効高さは上面15mm。装置サイズはL740×D500×H1412mmである。

 

(写真6)超小型搬送式予備加熱炉『HAS-1016』

 

 

 

 (有)イトウプリントでは、同社が製造販売する実装治具、メタルマスク、データサポートを展示・案内(●写真7)。

 スピード感のある対応が可能な同社の実装治具は、近年、SMT後の工程の複雑さと技術継承の難しさから需要が高まっているという。

 DIPパレットやちょっとした省力化治具が実装工程をサポート。

 ブースには部品整列汎用パレットなど様々なサンプルが置かれていた。

 また同社のメタルマスクは、独自開発の中空フレームによって、薄くても従来通りのテンションが得られるという特徴を有し、従来の1/3のスペースで保管することができる。

 

(写真7)(有)イトウプリントの実装治具

 

 

 

 化研テック(株)では、フローパレットやリフロー炉パーツ(ラジエータなど)用の洗浄システムである『パレットクリーナー』を紹介していた(●写真8)。

 同製品は、シャワー式洗浄機と専用洗浄剤の組み合わせにより短時間・強力洗浄を実現するもので、付着したフラックス汚れを強力に除去する。

 専用の洗浄剤『パレクリン』は界面活性剤などの不揮発成分を含んでおらず、水分調整などといった液管理の必要がない。

 装置は、パレットサイズや処理量に合わせて、低コスト・大容量タイプ、コンパクトタイプ、大容量タイプが揃う。

 

(写真8)ローパレット・リフロー炉パーツ洗浄システム『パレットクリーナー』

 

 

 

 KnK(株)では、リール内の電子部品を、99.9%という高い精度で、しかも高速(8秒)でカウントできるX線チップカウンタ『HAWKEYE1000』を紹介(●写真9)。

 カウントは4リール(180mm)同時に行え、リールを登録しなくてもカウント可能で、画面操作も簡単。

 スピーディな計測で効率を向上化し、ピッチ登録などの手間もいらず、カウントミスの軽減に貢献する。

 また、4リールセンサによって、シール貼り付けミスを防止するオプションも用意。

 さらに、放射線漏れを保護する遮蔽構造、二重安全システムの採用、ドア用ライトカーテンセンサの付属など、安全性にも配慮されている。

 この他、同社は、短納期で高品質、かつ低コスト、カスタマイズ対応可能な搬送装置を案内していた。

 

(写真9)X線チップカウンタ『HAWKEYE1000』

 

 

 

 (株)弘輝テックでは、インラインセレクティブはんだ付けシリーズの、モジュール型インラインタイプ『SELBOⅡ』を紹介していた(●写真10)。

 量産・自動化に対応し、混流生産が可能。

 多彩なノズル選択により、タクトの短縮を実現する。

 ドット式エアロジェットスプレー仕様の『SELBO Ⅱ-SJ』スプレーモジュールや、霧化圧式二流体スプレーである『SELBO Ⅱ-S』スプレーモジュール、カーボンランプ式予熱ヒータの『SELBO Ⅱ-H』予熱モジュール、丸ノズル&角型ノズル噴流式はんだ槽16kgの『SELBO Ⅱ-D』などが揃う。

 同社ではこの他にも、卓上型セレクティブはんだ付けシリーズとして、高い塗布効率と最適塗布量設定を実現するスプレーフラクサ『ULTIMA-SSP“SPROBO”』、ドロス低減と低ランニングコストを実現する『ULTIMA-TRZ“TAKUROBO”』などを紹介していた。

 

(●写真10)『SELBOⅡ』に関する展示

 

 

 

 (株)サヤカでは、ルータ式基板分割機を2製品、紹介していた(●写真11)。

 ともに、画像処理機能の搭載によって切断位置を自動補正。

 ルータビットの高さを自動で切り替え、長寿命化を実現する製品で、カメラ搭載卓上型の『SAM-CT23S』は、カメラで基板を見ながら簡単にティーチングが可能で、QRコードで切断プログラムを自動切替できる機能を標準装備。

 他の分割機と治具の共用が可能で、量産だけでなく試作用途にも適する。

 インライン対応モデルで自動化対応型の『SAM-CT34XJ』は、基板の供給・排出の自動化を前提としたきめ細やかな標準仕様の製品で、高速・高精度な切断を追求。

 カメラで基板を見ながらのティーチング機能に加えて、CADデータによる編集も行える製品となっている。

 

(写真11)ルータ式基板分割機『SAM-CT23S』(左)と『SAM-CT34XJ』(右)

 

 


 (株)東京測器研究所では、外部ストレスによる基板のトラブルを防ぐ「基板ストレスチェックサービス」を紹介していた(●写真12)。

 このサービスは、同社のセールスエンジニアが、プリント基板のトラブルに応じた「最適なゲージ」と「貼り付け位置」を提案するもので、高精度な測定器を使用した「信頼性の高い測定値」によってわずかなトラブルも見逃さず、さらに専用ソフトウエア『PC-760』によって基板ストレス源を特定し、客観的なデータ解析を行う。

 また、ボルトに加わる軸力を測定することで、締結状態の確認や管理(緩みや締めすぎ、規定の締結力の確認)を行う、軸力ボルト製作・校正サービス、M3ボルトへの埋込対応も案内していた。

 

(●写真12)「基板ストレスチェックサービス」に関する展示

 

 

 

 日本プラズマトリート(株)では、基材の表面を改質する大気圧プラズマ装置『Openair-Plasm システム』を紹介していた(●写真13)。

 『Openair-Plasm』は、表面の微細有機物洗浄と改質することで、基材のぬれ性を改善し、コーティングの密着性を高められることから、剥離防止や防湿などの効果を長期的に持続させることができるシステム。

 同システムを制御するジェネレータ『FG5001S』は、標準仕様でIGBT半導体アンプを内蔵。

 デジタル式のプロセス制御によって高性能かつ精密なプラズマ出力制御・管理機能を兼ね備える装置で、複数のパラメータを表示し、管理・診断を行うことで品質保証と信頼性を高めている。

 

(写真13)大気圧プラズマ装置『Openair-Plasm システム』に関する展示

 

 

 

 日置電機(株)では、安全・簡単なバッテリセル模擬機能をもち、12台の電源、電子負荷、DMMを1台に集約したバッテリセル電圧ジェネレータ『SS7081-50』を紹介(●写真14)。

 BMSの機能評価環境を簡単、安全、かつ高精度に実現する製品で、実電池や個別電源に比べて安全に模擬環境を構築可能。

 優れた電圧出力精度と電圧・電流測定精度を有し、国際標準構成機関による安心で確実なサポートも実現。

 この他、コンパクト設計のフライングプローブテスタ『FA1240-63』も展示。ワークフローに沿って進めるだけの簡単操作で品質の向上と工数の削減に貢献する製品で、Mラック基板に対応するライン向けモデルで、「つくる(データ作成)」「はかる(電気検査)」「みる(不良の確認)」が連携する実装基板検査システムとなっている。
 

(写真14)バッテリセル電圧ジェネレータ『SS7081-50』

 

 


 (株)日立技研は、目視検査支援機『Neoview』シリーズを紹介していた(●写真15)。

 自動外観検査機(多数のメーカー品に対応)と接続して使用できる製品で、人とロボットのコンビネーションで見逃し防止を実現。

 独自のダブルカメラ方式で、繊細な不良も真上と斜めから自在に検査・観察できる。自動外観検査機での不良検出個所に即座に移動し、見逃す心配がない。

 外観・目視検査結果と修正個所を一元管理し、判定内容を画像付きで保存可能でトレーサビリティも完璧。

 一目でわかる不良画像をフィードバックし、上流工程の品質改善に貢献する。

 また、マルチコントロール機能(オプション)を導入することで、少ない検査員で複数ラインの検査が可能。

 同シリーズの『NVS500DM』は500万画素、『NVS400LM2』はインラインタイプとなっている。


 

(写真15)目視検査支援機Neoview『NVS400LM2』

 

 


 マランツエレクトロニクス(株)では、DIP検査に特化した下面フル3D検査装置『X02WB-350』を紹介していた(●写真16)。

 自立型のオフライン装置で、DIPフィレットの体積を計測し、はんだの過多・過少を検出する他、PIN測長でPIN高さ不良(つの・部品浮き)を検出。検査結果のトレーサビリティにも対応する。

 9メガピクセルカメラ、テレセントリックレンズ、白色照明(3D専用照明)を採用し、視野範囲は60.2×60.2mm(19.6μ)となっている。

 さらに、組み立て後の目視検査を自動化する卓上型の多機能検査装置『i22X』シリーズも展示。DL照明(白色+サイド赤+同軸落射)またはML照明(RGB+同軸落射)/UV照明(白色+UV)/白色照明を、検査用途に応じて選ぶことで、部品有無、色違い・ラベル有無、極性・ブリッジはんだ領域、コーティング剤の塗布有無を検査できる製品である。

 

(写真16)下面フル3D検査装置『X02WB-350』

 

 

 

 (株)マルコムでは、リフロー温度管理装置の製品群、『リフローチェッカ―』シリーズを紹介していた(●写真17)。

 無線LANユニット『RCX-R』は、遠く離れたところでも温度プロファイルをリアルタイムに受信可能で、温度条件出しの効率化に貢献する製品。

 電波が途切れてもデータがメモリされているので、撮り直しの必要がない。

 リフロー振動センサ『RCX-V』は、リフロー加熱中のコンベアなどによる振動を、基板の上に載せた2つの振動センサで測定するもの。X、Y、Z軸の振動状況をプロファイル画面と同時に表示する。

 この他、新製品として、試作・評価からセル生産で使用できる静止型リフロー装置『RDT-250EC』や、加熱状態の反り状況を3D表示するリフローシミュレータ『SRS-3L』も紹介。来場者は説明に聞き入っていた。

 

(写真17)『リフローチェッカ―』シリーズの製品群

 

 

 

 メイショウ(株)では、大型多層重量基板対応の、5Gインフラ系基板対応リワーク装置『MS9000XL』を展示していた(●写真18)。

 同製品は、650×700mmの大型基板、10kgまでの多層重量基板、□5~150mmの大型部品に対応。

 自社開発のITTS Ⅱ(自動温度追尾システム)により、部品取り外し作業を行いながら同時に基板の温度プロファイルが取得できる。

 さらに、同社の現行機『MS9000SE』のメカニズムをベースに、搭載・位置合わせにおいて確認した「Quattro Viewa」や、新た棚自動パターンマッチング機能も新たに導入され、次世代Beyond5Gを見据えた、サーバや基地局向け大型基板に最適な装置として注目を集めていた。

 

(写真18)5Gインフラ系基板対応リワーク装置『MS9000XL』

 

 

 

 ユニテンプジャパン(株)のブースでは、大気、窒素、真空、ギ酸、水素などのリフローに1台で対応する、ギ酸ガス・水素ガス還元両対応のタッチパネル搭載多機能はんだリフロー装置『RSS-210-S』を展示(●写真19)。

 外形寸法はW430×D295×H290mm、卓上サイズでありながら、200mmの有効加熱エリア、180K/minで最大500℃までの高速昇温など多彩な機能を有し、コンパクトなフットプリントを行う。

 昇温はホットプレート下部に配置された6本の高速遠赤(IR)光ヒータによって行い、対象物の熱容量に左右されづらい安定した加熱が可能。

 鉛フリー対応、ボイドレス、フラックスレスを実現する。

 

(写真19)はんだリフロー装置『RSS-210-S』

 

 

 

 (株)レクザムでは、オートレーザマーカ『Watson QR-800』を展示紹介していた(●写真20)。

 レーザ照射によって、識別情報を基板にダイレクト印字する製品で、インライン対応のオートマチックトレーサビリティーシステムを構築。

 QRコード対応で、限られたスペースに、大容量の情報を記録することができる。

 画像処理技術による位置補正で、狭い場所へもずれることなく印字。

 1秒間に最大30文字のハイスピード印字によって、生産ラインを止めることなく瞬時に記録することができる。

 また、内蔵カメラが基板の表裏、搬送方向を確認する他、印字した情報が読み取り可能であるかを判断。

 識別情報の重複を防止する機能も備えている。

 

(写真20)オートレーザマーカ『Watson QR-800』

 

 

 

 展示会場では、TM人事労務コンサルティング(株)によって、中小企業・小規模事業者などの生産性の向上のための設備投資など、「新規ビジネスモデルの構築を支援する経費の一部を補助」する、「ものづくり補助金」の無料相談ブースも設置(●写真21)。

 この窓口では、同社が豊富に有する実例の紹介から、申請を満たすための要件などについて詳細な説明を行っていた。
 


(写真21)TM人事労務コンサルティング(株)による「ものづくり補助金」の無料相談ブース

 

 

 

 なお、この展示会の2022年開催は、第2弾が7月6日(水)~8日(金)に名古屋市中小企業振興会館で、第3弾が9月29日(木)、30日(金)に金沢市の石川県産業展示館3号館で、第4弾が11月17日(木)、18日(金)に京都市のみやこめっせ 第二展示場で、それぞれ予定されている。

 

 

Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社エレクトロニクス 実装技術 編集部

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