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基板製造装置・設備 展示会レポート 2022.02.18

第4回 実装組立プロセス技術展2021

エレクトロニクス 実装技術 編集部

第4回 実装組立プロセス技術展2021

 

 

 2021年10月7日(木)と8日(金)の2日間、兵庫県神戸市の神戸サンボーホールにおいて、「第4回 実装組立プロセス技術展2021」が開催された。

 

 

 

この展示会は、実装工程の中の後工程における専門設備メーカーが集結し、その自動化に貢献する製品を展示・紹介するもの。

 同年の4月8日(木)・9日(金)に群馬県高崎市のGメッセ群馬で開催された第1回の開催に先立ち、「企業と企業・企業と顧客・顧客と顧客・装置と装置・サービス・情報――あらゆるものを結び、日本のものづくりの成長発展を無限に展開していきます」として、「MUSUBI JAPAN QUALITY」という連合を作り、マークも考案した。

 

 

 

 商社が主導する展示会ではなく、メーカー主導型で企画・運営されている点も大きな特徴となっている。

 そしてその後、第2回が愛知県名古屋市の中小企業振興会館(6月10日(木)・11日(金))、第3回が熊本県上益城郡益城町のグランメッセ熊本(8月5日(木)・6日(金))で開催され、これが4回目となった。

 なお、第1回では9社の出展だったが、今回は、(株)アイビット、アポロ精工(株)、アルファーデザイン(株)、(有)イトウプリント、KnK(株)、(株)弘輝テック、(株)サヤカ、タイセイクリンケミカル(株)、(株)東京測器研究所、日本プラズマトリート(株)、日置電機(株)、(株)日立技研、マランツエレクトロニクス(株)、(株)マルコム、メイショウ(株)、ユニテンプジャパン(株)の16社が出展した。

 今回も、会場内ではスペースが適度に確保され、密にならないような配慮がなされていた。

 また受付では、(株)マルコムが製造販売を手掛ける新型コロナウイルス抗原検査キットの紹介が行われていた。

 出展社の案内員は事前にこのキットを用いた検査を受けた上で会期に臨んだという。

 

 

 

 

(株)アイビットのブースでは、3D-X線ステレオ方式X線検査装置『FX-400tRX』を紹介していた。

 同製品は、同社独自の「X線ステレオCT方式」によって、実装基板の水平断面300層を、約40秒で取得。

 110kV、200μAの高出力X線源によって、銅(3mm)なども透過する他、高解像度2μmの画像分解能によって微細な部分の画像を取得する。

 幾何学倍率500倍による高倍率撮影を実現し、独自の「X線ステレオ方式」によって実装基板の表面、裏面の分離も約4秒で行う。

 その他、P-CT(ななめCT)、V-CT(垂直CT)での3D検査や、X線ステレオCT機能による10層のプリント基板の内層の観察も可能な製品となっている。

 

3D-X線ステレオ方式X線検査装置『FX-400tRX』

 

 

 

 アポロ精工(株)では、レーザはんだ付けロボット『J-CAT STAR GATE』を展示。

 これは、微細な部品や狭ピッチで隣接する部品などの接合に適したハイスペックマイクロレーザはんだ付けシステムで、非接触ではんだ付けを行うため、消耗部品が少なく、低ランニングコストで、メンテンナンスも容易。

 はんだ付け温度にてレーザ出力を設定できる。

 また、温度測定用の放射温度計がレーザ光と同軸で、高出力半導体レーザ最大80Wを搭載している他、極小の105μmのファイバを搭載。

 近赤外808nmとブルー波長450nmから選択することができる。

 

レーザはんだ付けロボット『J-CAT STAR GATE』

 

 

 

 アルファーデザイン(株)のブースでは、防湿材塗布装置『ACM]-300L』を紹介していた。

 同製品は、2ガンによって、フィルムコートノズルで広範囲塗布が、ニードルノズルで細部塗布が可能。

 オートプログラムαPRO 3Dで、簡単にぶつからない塗布プログラムを作成することができる。

 また、基板逆入れ防止機能の搭載(3D測定センサ)によって、作業者の段取り間違いを塗布前に注意喚起してくれる他、標準装備の塗布幅検出で塗布幅を管理できる。

 なお同社では、塗布検査装置ACI、仮乾燥炉、反転機など周辺装置すべてを設計製造。

 稼働管理、バーコードによる自動段取りなど、カスタマイズラインシステムを構築することができる。

 

防湿材塗布装置『ACM]-300L』

 

 

 

 (有)イトウプリントのブースでは、同社のメタルマスクの展示・紹介を行っていた。
 省スペース、ワンタッチフレームという特徴を有する同社のメタルマスクは、1/3のスペースで保管可能。

 独自開発の中空フレームによって、薄くても従来通りのテンションが得られる。

 ワンタッチでセットが完了し、工具などは一切必要ない。

 ブースではこの他にも、DIPパレットやちょっとした省力化治具で組み立て工程をサポートする実装治具や、基板の歪みに合わせて補正したメタルマスクやマウントデータの作成、DXFデータ変換などを行ってくれるデータサポートサービスについても展示され、注目を集めていた。

 

(有)イトウプリントのメタルマスク

 

 

 

 KnK(株)は、X線チップカウンタ『HAWKEYE1000』を紹介していた。

 同製品は、リール内の電子部品を、4リール(180mm)同時に、99.9%の精度で、しかも高速(8秒)でカウントできる装置。

 リールは登録なしでもカウント可能で、画面操作も簡単。

 スピーディな計測で効率の向上に貢献し、ピッチ登録なども不要でカウントミスを軽減。

 4リールセンサによって、シール貼り付けミスを防止する(オプション)。

 さらに、放射線漏れを保護する遮蔽構造、二重安全システムの採用、ドア用ライトカーテンセンサの付属など、安全性にも配慮されている。

 この他、同社は、短納期で高品質かつ低コスト、カスタマイズ対応可能な搬送装置を案内していた。

 

X線チップカウンタ『HAWKEYE1000』

 

 

 

 (株)弘輝テックは、『SELBOⅡ』ポイントはんだ付け装置を紹介していた。

 同製品は、モジュール型インラインタイプで、混流生産が可能で、量産・自動化に対応。

 多彩なノズル選択により、タクトの短縮を実現する。

 また、インラインセレクティブはんだ付けシリーズとしては、ドット式エアロジェットスプレー仕様の『SELBO Ⅱ-SJ』スプレーモジュールや、霧化圧式二流体スプレーである『SELBO Ⅱ-S』スプレーモジュール、カーボンランプ式予熱ヒータの『SELBO Ⅱ-H』予熱モジュール、丸ノズル&角型ノズル噴流式はんだ槽16kgの『SELBO Ⅱ-D』などがラインアップされている。

 同社はこの他にも、SRスマートグラスを導入し、省人化設備の生産ロス削減に貢献する「リモートSolution」などを展示していた。

 

『SELBOⅡ』ポイントはんだ付け装置

 

 

 

 (株)サヤカでは、実装後の基板を低ストレス、かつ安全に切断するルータ式基板分割機、カメラ卓上型の『SAM-CT23S』と、インライン対応モデルで自動化対応型の『SAM-CT34XJ』を紹介。

 2製品ともに、画像処理機能の搭載によって切断位置を自動補正。

 ルータビットの高さを自動で切り替え、長寿命化を実現する。

 『SAM-CT23S』は、カメラで基板を見ながら簡単にティーチングが可能で、QRコードで切断プログラムを自動切替できる機能を標準装備。

 他の分割機と治具の共用が可能で、量産だけでなく試作用途にも適する。

 『SAM-CT34XJ』は、基板の供給・排出の自動化を前提としたきめ細やかな標準仕様の製品で、高速・高精度な切断を追求。

 カメラで基板を見ながらのティーチング機能に加えて、CADデータによる編集も行える。

 

ルータ式基板分割機『SAM-CT23S』(左)と『SAM-CT23S』(右)

 

 

 

 タイセイクリンケミカル(株)のブースでは、新フッ素対応型の洗浄機『Clean Best Zero』を紹介していた。

 縦型密閉式による低消費化を実現した製品で、ハーフディップですみずみまできれいに洗浄し、ウルトラヒートによる高い乾燥性、冷浴シャワーによるリンス性(しみ発生の低減)を実現する。

 また、新機能として、ウルトラクールによる洗浄剤の蒸発ロスを限りなくゼロ化。

 未使用時は槽内冷却装置によって、冷却配管中を冷水が循環し、自然気化を防止する。

 液の消費抑制でランニングコストを低下させ、リサイクル効率が高く、自然と作業の両環境が改善する。

 

新フッ素対応型の洗浄機『Clean Best Zero』

 

 

 

 (株)東京測器研究所では、ストレスによる基板のトラブルを未然に防ぐ「基板ストレスチェックサービス」を紹介していた。

 近年、鉛フリーはんだの使用によって、機械的負荷に対して弱い、従来より壊れやすい、といったトラブルが頻発しているという。

 そこで、同社では、基板ストレスの測定・解析を行うサービスを提供している。

 同社のセールスエンジニアによって、トラブルに応じた「最適なゲージ」と「貼り付け位置」を提案し、高精度な測定器を使用することでわずかなトラブルも見逃さない他、専用ソフトウエア『PC-760』によって基板ストレス源を特定し、客観的なデータ解析を行うことができるサービスとなっている。

 

「基板ストレスチェックサービス」に関する展示

 

 

 

 日本プラズマトリート(株)では、大気圧プラズマ装置『Openair-Plasm システム』を紹介。

 『Openair-Plasm』は、表面の微細有機物洗浄と改質することで、基材のぬれ性を改善し、コーティングの密着性を高められることから、剥離防止や防湿などの効果を長期的に持続させることができる。

 同社のジェネレータ『FG5001S』は、デジタル式のプロセス制御によって、高性能かつ精密なプラズマ出力制御・管理機能を兼ね備えている。

 また、『Openair-Plasm』ポテンシャルフリーノズルは電位に敏感な基材も処理できる。

 同システムのエレクトロニクス分野でのアプリケーション例としては、実装基板のコンフォーマルコーティング前処理や、プラズマコーティングによる保護膜の生成、LEDパッケージへのプラズマ防錆コーティング、などがある。

 

大気圧プラズマ装置『Openair-Plasm システム』に関する展示

 

 

 

 日置電機(株)では、新型オフラインタイプのインサーキットテスタ『FA1220-02』を紹介。

 スライドイン構造によって、テストフィクスチャの設置工数を大幅に削減する製品、段取り工数を削減する豊富なオプションで生産性の向上を実現。

 多種多様な検査を実現する多くの測定パラメータと不良検出機能や、多くの安全機能をもつ。

 操作にはタッチパネルPCを採用。

 画面切り替え、データの読み出し、検査スタート、マニュアル検査などの基本操作を、キーボードやマウスを使わずに行える。

 この他、充実したアシスト機能でマニュアルレス操作を実現した実装基板検査システムである、フライングプローブテスタ『FA1240』などを展示していた。

 

インサーキットテスタ『FA1220-02』

 

 

 

 (株)日立技研は、目視検査支援機Neoview『NVS500DM』を紹介していた。

 自動外観検査機(多数のメーカー品に対応)と接続して使用できる製品で、搭載したカメラが、自動外観検査機の確認個所を自動追跡。

 検出した不良個所に即座に移動するため、見逃す心配がない。

 外観・目視検査結果と修正個所を一元管理し、判定内容を画像付きで保存可能。

 一目でわかる不良画像をフィードバックし、上流工程の品質改善に貢献する。

 ブースでは『NVS500DM』の他、インラインタイプの『NVS400LM2』も展示され、注目を集めていた。

 

目視検査支援機Neoview『NVS500DM』と『NVS400LM2』

 

 

 

 マランツエレクトロニクス(株)は、組み立て後の目視検査を自動化する卓上型多機能検査装置『i22Xシリーズ』を紹介。

 アングルカメラによる斜視検査を実現する製品で、ターンテーブルでワークを回転させての多面検査が可能。

 ティーチングペンダントレスソフトから直感的に操作でき、キャッチシステム(オプション)で検査結果のトレーサビリティを確立する。

 この他にも同社では、挿入部品面、はんだ面を同時検査し、タクト削減を実現する両面同時検査装置『D22X-350L』、UVコーティング剤と部品検査を1台に集約したUVコーティング剤自動検査装置『V22XUVシリーズ』を紹介していた。

 

卓上型多機能検査装置『i22Xシリーズ』の展示

 

 

 

 (株)マルコムでは、測定に必要なセンサをすべて内蔵し、温度測定用基板が必要ないディップテスタを展示していた。

 『DS-10S』はセレクティブはんだ付け装置に対応。

 ノズル方式、部分はんだ装置の管理が簡単に行える製品で、はんだ温度・時間、温度上昇状態、移動速度、はんだ寸法を一括測定する。

 『DS-10』は、フローはんだ付け装置に流すだけで必要な情報を測定する製品である。

 2製品はともに専用データ管理ソフトでプロファイル表示、合否判定を行い、測定結果をUSB通信でPCへ簡単転送。

 工程管理の合理化に貢献する。

 その他、ブースではモジュラタイプ リフローチェッカ『RCX-1システム』や、JIS Z 3285準拠のスパイラル粘度計『PCU-02V』も紹介されていた。

 

ディップテスタ『DS-10S』(左)と『DS-10』(右)

 

 

 

 メイショウ(株)は、はんだペースト印刷&リボール装置『リボコン RBC シリーズ』の製品、『RBC-1』と『RBC-100』を展示していた。

 部品実装前のはんだペースト印刷も、リワーク時の部品再生も1台で簡単に行える製品で、作業も短時間。

 低コストで導入・ランニングでき、人的誤差が少なく、完成度の高いリボールを実現する。

 同社のブースではこの他、自社開発のITTS Ⅱ(自動温度追尾システム)により、部品取り外し作業を行いながら同時に基板の温度プロファイルの取得が可能なプラットフォーム型リワーク装置『MS9000SE(LPC)』の展示も行われていた。

 

はんだペースト印刷&リボール装置『RBC-1』(左)と『RBC-100』(右)

 

 

 

 ユニテンプジャパン(株)のブースでは、ギ酸・水素還元に対応する、卓上型真空はんだリフロー装置/酸化膜還元装置『RSS-210-S』を展示していた。

 基板やウエハ上の電極面や、銅ナノ粒子の表面にある、接合不良原因の酸化膜をギ酸の還元効果によって簡単に除去する製品。

 外形寸法はW430×D295×H290mm、卓上サイズでありながら最大到達温度400℃を実現し(オプション時:最大到達温度500℃)、通常のリフローに加え、鉛フリー、ボイドレス、フラックスレスなどの各リフローが可能で、最大200×200mmの基板に対応する。

 

卓上型真空はんだリフロー装置/酸化膜還元装置『RSS-210-S』

 

 

 

 また、展示会場では、中小企業・小規模事業者などの生産性の向上のための設備投資など、「新規ビジネスモデルの構築を支援する経費の一部を補助」する、「ものづくり補助金」の無料相談ブースも設置されていた。

 現在、「MUSUBI」キャンペーンとして、この「ものづくり補助金」の無償申請サポートのサービスが行われている。

 この窓口では、実例の紹介から、申請を満たすための要件などについて詳細に説明をしてくれる。

 サポートを受ける料金不要で、購入者の負担費用を抑えて製品を導入できる、とあって、来場者が相談を受けていた。

 

「ものづくり補助金」の無料相談ブース

 

 

 なお、この展示会は2022年も、4月14日~15日に宮城県仙台市の夢メッセ宮城で、7月6日~8日に愛知県名古屋の名古屋市中小企業振興会館 (吹上ホール)で、9月15日~16日に石川県金沢市の石川産業展示館(予定)で、11月17日~18日に京都府京都市のみやこメッセでの開催が、それぞれ予定されている。

Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社エレクトロニクス 実装技術 編集部

国内唯一の実装技術専門誌!『エレクトロニクス 実装技術』から転載。 最新号、雑誌の詳細はこちら

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