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650社
最終更新日
2022/9/21 (水) 17:21

2018.06.19 編集企画

連載:薄物プリント配線板の進化 Part1 ~ポータブル電子機器の発展との関わり~

青木 正光

ポータブル機器の発展は、プリント配線板や半導体パッケージ、電子部品の進化によってなされてきました。その中のプリント配線板用材料である銅張積層板は、『絶縁機能』、『導電機能』に加え、『支持機能』といった3つの機能を有します。1970年代頃までは、一般にプリント配線板の板厚は1.6mmで、紙基材の銅張積層板が使用されていました。これは搭載する部品などが重く、支持できるプリント配線板の板厚として1.6mmが必要だったからです。

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写真1 1970年代初め頃の東芝製ブラウン管式カラーテレビの片面プリント回路基板

ところが、1980年頃から日本は、「軽薄短小」をキーワードにチップ部品などを使用したポータブル型電子機器を製品化する動きが進み、さらに部品が小型軽量化したため、それまで一般的に利用されていた板厚1.6 mmのプリント配線板から、0.8mm以下の薄物プリント配線板が採用されるようになりました。
板厚が0.1~0.6mmになると、紙基材銅張積層板では機械的強度が弱く、かつ耐湿性も問題となりました。実装特性も劣ることや、電子機器の小型化で実装面積にも制約が出て、片面プリント配線板から両面プリント配線板にする必要性が生じてきました。そのため、コストは高いものの民生用機器でもガラス基材銅張積層板やコンポジット銅張積層板などを使用した両面プリント配線板が使用されるようになりました。この頃、ガラス基材銅張積層板やコンポジット銅張積層板が採用されたのは、携帯型ラジオ、時計、多機能電卓、電子手帳、ヘッドホンステレオ、カメラ一体型VTRなどでした。

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写真2 1984年頃のソニー製ラジオに採用された薄物ガラスエポキシ両面プリント配線板

それまで高価なために主に産業用機器でしか利用されてこなかったガラス基材銅張積層板ですが、民生用機器に採用され、業界内でも受け入れられたため、ガラス基材銅張積層板の採用が進んでいきました。
その後、高密度実装には多層プリント配線板が必須となり、その中でも薄物多層プリント配線板の採用が日本で進んでいきました。特に1989年に発売されたソニーのパスポートサイズのカメラ一体型VTR 『CCD-TR55』(重量790g)には、軽量化のために0.6mmの薄物多層プリント配線板が初めて採用されました。

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写真3 1989年のソニー製カメラ一体型VTRと薄物多層プリント配線板を採用した実装基板

当然ながら薄物でも耐熱性と同様に寸法変化の少ない銅張積層板が必要とされました。1990年代には薄物多層プリント板で1層当りの板厚約0.1 mmの概念が確立され、薄物多層プリント配線板の利用が日本で確立されました。その後、1990年代後半頃には、携帯電話の高機能化により、薄物ビルドアップ多層プリント配線板が採用されるようになり、0.6~0.8mmの板厚で6~12層の基板が一般化していきました。

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写真4 2009年のノキア製携帯電話と薄物ビルドアップ多層プリント配線板

パスポートサイズのカメラ一体型VTRが出現する以前は、肩に担いで撮影するものでしたが、その後、デジタル化が進展して、手の平サイズのデジタル・ビデオ・カメラ(DVC)へと変身していきました。

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写真5 2010年のソニー製デジタルビデオカメラ(重量 196g)

ポータブル機器の小型軽量化には、半導体パッケージの高密度・小型化(QFP→BGA→CSP)、電子部品のチップ化、しかも微小チップ化されたことが薄物多層プリント配線板と同様に大きく寄与しました。
ポータブル機器からのニーズもあって、基板の薄物化が進展し、日本市場で薄物多層プリント配線板技術が花開いたと言ってもよいでしょう。

 

執筆者

NPO法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 理事
青木 正光
http://www.jetpa.jp/jetpa/