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プリント基板 実装・パッケージング 展示会レポート 2017.02.08

第46回インターネプコン ジャパン2017 開催

太田 幸恵

第46回インターネプコン ジャパン2017 開催

第46回インターネプコン ジャパン2017」が、2017年1月17日(水)から19日(金)まで東京ビッグサイトで開催された。

エレクトロニクス製造・実装技術に関する「第46回インターネプコン ジャパン2017」と、「第34回エレクトロテスト ジャパン」、「第18回電子部品・材料EXPO」、「第18回半導体パッケージング技術展」、「第7回微細加工EXPO」、「第18回プリント配線板EXPO」の6展で構成されたネプコンジャパンに加え、「第9回ライトテックEXPO」、「第1回スマート工場EXPO」、「第9回国際カーエレクトロニクス技術展」、「第5回コネクティッド・カーEXPO」、「第8回EV・HEV駆動システム技術展」、「第7回クルマの軽量化技術展」、「第3回自動車部品&加工EXPO」、「第1回ロボ デックス ロボット開発・活用展」、「第3回ウェアラブルEXPO」が同時開催され、東京ビッグサイト全館を2,250社のブースで埋め尽くした。開会当初は19日(金)に雪予報が出ていたこともあってか、17日の初日から多くの人が来場し、3日間で11万234人(前回比41%増)が来場した。本稿では、展示会の一部を紹介する。

リフロー装置メーカーのエイテックテクトロン(株)は、窒素リフロー炉「RN152L-82」の展示を行っていた。これは、加熱ムラを最小限に抑えた新型ノズルの採用で温度の均一性を向上させており、独自の内圧コントロールシステムにより全ゾーン同一酸素濃度を実現した高信頼性のリフロー炉である。それに加え、製造現場で問題となっているフラックスの回収に強化を入れており、リフロー炉の入り口と出口のバッファゾーンにヒータユニットと水冷式冷却ユニット、そして大型の水冷式フラックス回収ユニットを2基設置することで、フラックス特性と炉内のエア対流に合わせて効率的にフラックスを回収し、長期メンテナンスフリーを実現している。これにより、炉内に付着してしまっていたフラックスを約80℃まで冷して液状化させ、装置背面のフラックス回収ユニットの下面トレーに溜まるようにすることでクリーニングを容易にしている。製造する商品やはんだの種類によっても異なるが、それまで2、3日に一度行っていた場合は、2週間までクリーニング期間を伸ばすことが可能という。

窒素リフロー炉「RN152L-82」
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RN152L-82背面の水冷式フラックス回収ユニット
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はんだ付け周辺機器メーカーである(株)ジャパンユニックスは、今春に開講する電子組立品の許容基準IPC A-610F認証資格のオンライントレーニングのデモンストレーションを行っていた。これは、同社とIPCがオンライントレーニング用に共同開発したプログラムで、CIS(認証IPCスペシャリスト)とCIT(認証IPCトレーナー)の認証資格を扱う。オンラインのため、いつでもどこでも受講することができ、繰り返し受講も可能のため、苦手科目を何度もトレーニングできるなど、自分のペースでトレーニングすることができる。また、認証試験も日本全国にある提携試験センターで受験することが可能で、取得した認証資格は2年間有効で、認証の更新トレーニングも試験にも対応している。

IPC A-610F認証資格のオンライントレーニング
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海外製産業機械の専門商社である(株)ケー・ブラッシュ商会は、ドイツの真空リフロー装置メーカーであるATV Technologie GmbH社製の量産用ギ酸対応真空リフロー装置「SRO i-Line」を展示していた。ギ酸はというと「蟻酸=アリがもつ毒の一つ」のイメージがあるが、酢酸を作成する際に副産物としてできるもので、低級カルボン酸の一つであり、髙い還元作用と強い腐食性をもっている。ギ酸還元方式のリフローは、フラックスを使用しないでリフローすることが可能なため、フラックス洗浄工程が不要となり、環境に優しい。同製品は、440×410㎜の加熱板をもち、縦に3つのチャンバが装備されており、チャンバの条件も変えられる上、インラインでの使用ができる。真空リフローのため、ボイドを嫌う航空宇宙などの製品に向いている。

量産用ギ酸対応真空リフロー装置「SRO i-Line」
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実装検査装置メーカーの(株)サキコーポレーションは、「M2M連携デモンストレーション」のプレゼンをブースで行っていた。ものづくりの市場が急激に変化している現在、周辺設備とのM2M連携、設備稼動率の向上、生産効率の最大化といったことが検査装置に求められている。また、技術的にも部品サイズ、パッドサイズの小型化、基板の薄型化の進展によって、高精度なM2M連携のために検査装置の高い絶対精度が必須となっている。同社がもつはんだ付け検査装置、実装外観検査装置が、ラインのはんだ付け装置や実装機などに情報をフィードバック・フィードフォワードすることにより、製造ラインでの生産性の向上を図ることができる。

M2M連携デモンストレーション
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富士通インターコネクトテクノロジーズ(株)と共同出展していた富士通アドバンストテクノロジ(株)は、開発プラットフォーム、設計受託とテクノロジ、設計~製造受託の3分野で、エンジニアリングクラウドを通して、クライアントのものづくりを支援する企業で、今回、「基板評価ソリューション」を展示していた。これは、富士通の4G/5G基地局向け基板、スパコン向け高速伝送基板を支えてきた専門エンジニアが基板材料と基板の特性を調査するサービス。
基板寿命評価と解析では、超加速度試験(IST試験)によって従来の60分の1の期間で寿命評価ができ(8年間の評価実績)、48種・864サンプル(2016年12月時点)の寿命データベースを用いて、製品基板の断面観察から寿命を予測している。限界寿命評価を数日で対応しており、T/C(-65~125℃)3000Cycle(2ヶ月)の試験をIST1日でできる。
基板特性評価と解析では、スパコン開発を支えてきた伝送特性(特性インピーダンス/伝送損失/Skew)、マイクロ波・ミリ波誘電体材料特性(比誘電率/比誘電正接/伝送損失)の評価ができ、110GHzまでの高周波測定に数日で対応でき、評価基板も準備できる。これにより、実基板・評価基板、または基板仕様の提供から評価・解析結果による設計最適化・品質改善を行うことができる。

110GHz高周波プローブステーション
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東芝生産技術センターの基盤技術を活用し、幅広い製品に関わる生産技術のサービスを提供している(株)マニュファクチャリングソリューションは、半導体パッケージの開発・試作、実装評価用TEGウエハの設計・試作、モジュール開発・試作、モールド試作などの展示を行っていた。「実装評価用のTEGウエハの設計・試作」では、マスクレスのため1枚から試作対応でき、➀Cuピラー・はんだ・Auスタッドなどの各種バンプに対応したフリップチップボンディング評価用TEGウエハ、②マスクレス露光でファインピッチに対応している耐湿評価用櫛歯TEGウエハ、③45μmからのバックグラインド、0.1㎜□からのダイシング、DAF厚10μmのDAF貼り付け加工といった各種ウエハ加工といった試作が可能である。耐湿評価用櫛歯TEGウエハでは、L/S=5μm/5μmの櫛歯パターンを可能としているが、今後、ナノオーダーのピッチパターンを可能としたいという。また、樹脂プリンタを利用した「モールド試作」では、金型部品を併用することで、短期間での試作・評価・金型修正を可能とし、開発リードタイムの短縮をを可能としている。

各種TEGウエハ
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モールド試作
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ドイツが提唱している第4次産業革命「Industry4.0」がメディアなどで騒がれているが、ネプコン会場内も年々、「Industry4.0」や「スマートファクトリー」、「インテリジェントファクトリー」といったIoTやM2Mによる統合生産システムに関する展示が増えてきている。各社では、ネットワークを利用して、様々なデータを利用し、効率よく、良品を製造するシステムを紹介しており、今後ますます重要となってくる。

次回のネプコンジャパン2018は2018年1月17日(水)から19日(金)まで東京ビッグサイトで開催予定である。

 

 
テクニカルライター太田 幸恵

技術調査会〈現Gichoビジネスコミュニケーションズ〉にて、長く月刊誌「エレクトロニクス実装技術」の編集に携わった後、ライターとして独立。エレクトロニクスや食に関する執筆を行い、日本実装技術振興協会 高密度実装技術部会で運営委員を務める。

http://www.j-jisso.org/
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