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650社
最終更新日
2022/9/21 (水) 17:21

2018.09.21 編集企画

連載:薄物プリント配線板の進化 Part4~多層プリント配線板を大量に作るには?~

青木 正光

1980年代、ノートパソコンが商品化され、モバイルコンピューティング目的で個人もパソコンを所有するようになりました。これまで主に産業用電子機器に使用されていた多層プリント配線板が、これによって民生用機器にも使用されるようになりました。そして、1989年に『ノートパソコン』、『携帯電話』、『カメラ一体型VTR』といった多層板を必要とする機器が同時期に誕生し、ヒット商品となりました。

Note PC(DynaBook SS001).jpg

写真1 東芝製ノートパソコン『Dynabook J-3100 SS001』

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写真2 モトローラ製携帯電話『MicroTAC』

Camera Unified VTR(CCD-TR55).jpg

写真3 ソニー製カメラ一体型VTR『Handycam CCD-TR55』

1989年にパスポートサイズという謡い文句で華々しく登場したのが、ソニーのカメラ一体型VTR『Handycam CCD-TR55』で、当時、話題となりました。初めて民生機器に0.6mmの薄物多層プリント配線板が採用されました。これ以前はというと、0.6mmのコンポジット銅張積層板を使用した両面プリント配線板でした。製品の高機能化にともない、高密度配線が必要となったことで多層プリント配線板が登場することとなりました。
民生機器に多層プリント配線板を使用するようになったことで、日本では調達面で問題が起きました。
当時のプリント配線板メーカーでは、両面板を製造するよりも多層板を製造する方が、工程数が多くなるのはもちろん、設備能力からみても多量に供給するのに限界がありました。そこで打開策として登場したのが、積層板メーカーにある大型多段プレス機でした。製品サイズで1×1.2mの銅張積層板を製造することのできる2,000トン級の30段大型多段プレス機を使用して内層回路入り銅張積層板を製造しました。当時、製品サイズで0.50×0.61mの5段程度の小型プレス機と比較するとジャンボジェット級のプレス機ですから、生産性は格段にあがりました。
同じパネルサイズでも2,000トン級のプレス機で製造した場合、面取り4倍、段数6倍、つまり24倍の生産能力となります。1段当たりに仕込む枚数を増やすことによって、さらにその生産量を上げることができます。5段プレス機での製造が主流であった時代からすると、メーターサイズの内層回路入り銅張積層板の生産は世界規模でみても稀で、少し大きい例でもハーフサイズというメーターサイズの半分程度でした。
30段の2,000トンプレス機に1段当たり5枚分を1セットとして仕込めば5倍となり、5枚取り/段×30段で、実に150枚分の定尺サイズの内層回路入り銅張積層板が1回の成形で生産できます。1×1.2mの定尺に製品パネルサイズが仮に20個取りとなると、実に1回の成形で3,000枚の製品パネルサイズが取れる内層回路入り銅張積層板の生産が可能となります。
問題は、内層回路の回路情報を顧客から受領した上で、積層板メーカーでは内層回路を形成する製造ラインの導入が必要であるもののプリント配線板メーカーは内層回路入り銅張積層板を受領すれば両面板を製造するラインで多層プリント配線板を製造することが可能となる点でした。
生産能力のない1980年代には、積層板メーカーで生産する内層回路入り銅張積層板が多量に生産され、国内外のプリント配線板メーカーに供給されました。そして、内層回路入り銅張積層板で生産した多層プリント配線板が最終製品としてアップル社のパソコン向け基板として大量に供給されました。
積層板メーカーでは内層回路入り銅張積層板をマスラミネーション(Mass Lamination)とかマスモールディング(Mass Molding)と呼んでいましたので、国内では略して"マスラミ"と言っていました。初期の頃は内層回路にシールド層を入れることが多く、業界内では"シールド板"とも呼ばれていました。
1990年代の最盛期には日本で40~50万㎡/月の内層回路入り銅張積層板が生産されていましたが、プリント配線板メーカーでプレス機が導入されるにつれ、積層板メーカーで生産する役目は徐々に薄れていきました。

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写真4 名機製作所 (Meiki) 製5段プレス機

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写真5 Lien Chieh Machinery(LCM)製20段プレス機

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写真6 北川精機(Kitagawa)製36段プレス機

 

執筆者

NPO法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 理事
青木 正光
http://www.jetpa.jp/jetpa/